エンジニアやプログラマーなど、IT企業における開発職は専門的な教育を受けた者を採用するのが通例だった。しかし企業によっては、未経験者でも積極的に採用する事例が増えている。その理由は、開発職の需要が大幅に増えている実情がある。
インターネットの普及などにより、社会の幅広い領域でIT技術が活用されるようになった。それに伴ってIT企業が増え、システムの開発やメンテナンスを行う人材が足りなくなっている。エンジニアの実務を未経験者に担当させるのは無理があるため、企業では育成のためのシステムを導入している。採用後に一定の時間をかけて基礎を習得させ、現場へ配属されたあとも研修を繰り返し実施するパターンが多い。
採用直後に行われる研修の内容は、企業によって異なる。ベテラン社員が講師になって学習を進める例がある一方で、研修を専門とした外部企業に任せる例もめずらしくない。企業によっては、採用の内定を出した段階から自習を推奨することもある。数ヶ月の研修で基礎知識を教えるため、学習のペースは速い。新入社員は研修の時間だけではなくプライベートでも自習が求められる。
学習の達成度を判断するため、社内で独自の試験を行ったり公的な資格試験へのチャレンジを推奨したりする企業は多い。基礎研修を終えても一人前とはいえない状態のため、当面は先輩社員のサポートを受けながらの勤務となる。新人の定着を促進させるため、後輩へのサポート内容を人事評価の一部にする企業もある。